議会報告 / 医療・福祉
医療費削減について
本会議 一般質問 令和5年12月05日
令和5年12月5日の本会議一般質問で、議員が国民健康保険の医療費適正化、地域医療構想、保健指導、予防接種への助成のあり方について質問しています。
※この記事は、議会での質疑をもとにした活動報告です。
2020年の医療費・死亡率低下の要因について
長期デフレと社会保障費増加という背景
我が国の経済状況は1990年以降、平成バブルからの急激な財政緊縮、金融緩和による国内経済の衰退により、30年に及ぶ世界にも類を見ない長期デフレ化が進みました。
この間に進められた新自由主義的政策、構造改革・規制緩和によって、日本型経営の優位性が失われ、GDPは世界4位に転落、経済格差・貧困化が拡大しました。
さらに近年、日本でも経済成長を伴わない物価高騰が進んでおり、国民生活は逼迫しています。
特に、我が国において問題となっているのが社会保障費の増加です。
社会保障費の国民負担率は47.5%にも及び、賃金アップしても可処分所得が増えない、サイレント増税と言われる事態です。
2020年の医療費低下の特異性
こうした中、練馬区においても医療費抑制、保険料負担の軽減は喫緊の課題です。
医療費削減のヒントになるのが、2020年の医療費の状況です。
この年は、コロナ感染症の流行の1年目であり、マスコミの医療逼迫報道により受診控えが起こり、医療費が大幅に下がりましたが、同時に死亡率も下がっていて、医療保険財政としては理想的な1年であったようにも見受けられます。
受診控えによる医療費・死亡率低下をどう分析するか
2020年の医療費の低下と死亡率の低下の要因について、区はどのように分析されていますでしょうか。
受診が抑制されたほうが健康寿命が延びるとも考えられますが、区の所見を伺います。
国民健康保険の1人当たり医療費と死亡率の推移
1人当たり医療費(令和2年度)答弁
31万3,000円
1人当たり医療費(令和3年度)答弁
34万6,000円
死亡率(令和2年度)答弁
0.57%
死亡率(令和3年度)答弁
0.6%
国民負担率質問
47.5%
地域医療構想を踏まえた練馬区の病院整備の考え方について
特定健診の効果への疑問
国保の保険財政の現状を踏まえ、給付費の抑制は急務です。
厚労省の方針でも、ヘルスケアを柱とした医療費適正化が進められています。
しかし、現在行われている特定健診からの早期医療介入では、十分な医療費抑制効果が出ていないのも現実です。
医療エビデンスサイト、コクランレビューによると、23万人以上を対象としたランダム化比較試験において、健康診断はがんなどの死亡リスクに対して、ほとんどもしくは全く影響を及ぼさない、健康診断の実施は有益である可能性は低く、不必要な検査や治療につながる可能性があると結論づけられています。
夕張市の事例と国の方針
2007年に財政破綻した北海道夕張市のように、病床数が10分の1になったにもかかわらず、死亡率は増加しなかった事例もあります。
政府の骨太方針2023の医療費適正化においても、地域医療構想による病床数の整備削減、病床機能再編支援がうたわれています。
東京都の地域医療構想を踏まえた病院整備の考え方、順天堂練馬病院増床の経緯、近年の病床整備実績について
東京都の地域医療構想の内容を踏まえ、練馬区の病院整備の考え方について教えてください。
関連して、令和3年に順天堂練馬病院が病床を増床しましたが、その経緯についてもお伺いします。
また、近年の練馬区内の病床整備の実績及び予定についての具体的な事例についても、併せてお伺いします。
練馬区の病床数の推移
病床数(平成26年)答弁
1,800床
病床数(令和7年度見込み)答弁
2,800床
順天堂練馬病院増床答弁
90床
コクランレビュー対象者質問
23万人以上
食事指導による医療費削減・健康寿命延伸の効果について
保健指導の限界と食に対する意識変化の必要性
骨太方針2023では、在宅医療、地域包括ケアの充実と併せ、保健指導の推進がうたわれております。
医療費削減には、生活習慣の改善、特に食事改善が重要と考えますが、実際に食生活が変化するなどの行動変容につながる保健指導には限界があり、個人の食に対する意識変化が必要です。
管理栄養士による食事指導の医療費削減・健康寿命延伸効果について
練馬区での保健指導の取組として、管理栄養士による食事指導を実施しているとのことですが、食事指導、食事改善による医療費削減、健康寿命の延伸の効果について、データヘルス計画、KDBの分析結果から、区の所見を伺います。
食事指導の効果と糖尿病の医療費
個別数値改善率答弁
5割
糖尿病の方の医療費倍率答弁
1.3倍
保険給付よりも予防接種の助成に注力するのは国の医療保険制度の方針と相反するのではないか
予防接種への多額の財源投入
医療費の削減に苦慮する中、区は一般財源を使った予防接種事業に注力しています。
例えば、今年度の帯状疱疹ワクチンは、補正後予算で7億円超となっております。
また、24年度からの新型コロナワクチンについては、65歳以上の方が対象の定期接種となります。
医療保険制度の趣旨との齟齬への懸念
こうした新規ワクチン接種に財源をつぎ込むのは、病気やけが等の診療行為への給付を原則とする医療保険制度の趣旨から外れており、保険者としては問題があると考えます。
医者にかかる前のヘルスケアを薬に頼るのでは本末転倒です。
予防接種への財源投入は医療保険制度の趣旨から外れ、国の方針と相反するのではないか
国保財政が逼迫する一方で、保険給付よりも予防接種の助成に注力するのは、国の医療保険制度の方針と相反するのではないでしょうか。
区の所見を伺います。
予防接種関連の予算・対象
帯状疱疹ワクチン補正後予算質問
7億円超
新型コロナワクチン定期接種対象年齢質問
65歳以上
区の答弁
<答弁のポイント>
令和2年度は受診控えにより1人当たり医療費が下がったが、3年度には31万3,000円から34万6,000円に増加し、死亡率も0.57%から0.6%へ増加に転じたとの答弁でした。
国の人口動態統計でも2年度を底に死亡率が増加しており、国立がん研究センターの分析では検診受診率低下の影響は遅れて生じるとされているとのことでした。
練馬区は人口10万人当たりの病床数が23区で最も少なく、病床機能をバランスよく配置するため整備を進めてきたとの説明でした。
順天堂練馬病院は救急・周産期医療の機能拡充のため令和3年に90床増床したほか、練馬駅リハビリテーション病院など複数の病院が開院・移転し、平成26年の約1,800床から令和7年度には約2,800床になる見込みとのことでした。
特定健康診査でリスクが基準値を超えた方に対し、管理栄養士などが食事や間食などの行動変容を支援した結果、1年間で約5割の方の個別数値が改善したとの答弁でした。
糖尿病の方の医療費は平均の1.3倍と高く、早期指導が医療費適正化につながると考えているとのことでした。
予防接種は疾病の発生・蔓延の予防を目的とし、病気やけがへの給付を行う医療保険制度とは目的が異なるとの説明でした。
コロナワクチンは厚生科学審議会の報告で費用対効果評価が良好とされ、特に65歳以上で優れる結果が示されており、予防接種の助成は保険給付の削減にも寄与すると考えているとのことでした。
区の答弁(区民部長)
答弁の全文を読む
私から、国民健康保険の医療費適正化についてお答えします。
初めに、医療費と死亡率の推移についてです。
令和2年度は、新型コロナウイルスの影響により、全国的に医療機関等の受診控えがありました。
区の国民健康保険の統計データでは、1人当たり医療費は2年度31万3,000円でしたが、3年度は34万6,000円、加入者の死亡率は2年度0.57%で、3年度は0.6%それぞれ増加に転じています。
国の人口動態統計では、コロナ禍以前は減少傾向であった死亡率が、2年度を底に増加し始めています。
国立がん研究センターの分析では、緊急事態宣言で検診等の受診率が下がった影響などは、遅れて生じるとされています。
区としても、今後の医療費や死亡率の推移を注視してまいります。
区の答弁(区民部長) 特定保健指導における食事指導
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次に、特定保健指導における食事指導についてです。
特定健康診査の結果から、腹囲やBMIが基準値を超えた方に対し、血糖・脂質・血圧・喫煙のリスクに基づき、管理栄養士などが保健指導を行っています。
糖尿病治療中の方に対しては、対象者の意向を踏まえつつ、食事に野菜を取り入れたり、間食を減らすことなど、行動変容につながるよう支援した結果、国民健康保険の統計データの分析から、1年間で約5割の方の個別数値が改善しています。
糖尿病の方の医療費は、平均と比べ1.3倍と高い傾向であり、早期指導は医療費の適正化につながると考えています。
区の答弁(健康部長)
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私から、予防接種、感染症対策及び地域医療についてお答えいたします。
初めに、予防接種への助成と医療保険制度についてです。
予防接種は、伝染のおそれがある疾病の発生及び蔓延を予防するために行われており、病気やけがをした際に医療費の給付を行う医療保険制度とは目的が異なります。
コロナワクチン予防接種については、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の報告において、費用対効果評価は良好となっており、特に65歳以上の高齢者において、費用対効果に優れる結果である旨、示されています。
予防接種への助成は、公衆衛生の向上だけでなく、保険給付の削減にも寄与するものと考えます。
区の答弁(健康部長) 地域医療
答弁の全文を読む
次に、地域医療についてです。
練馬区は、人口10万人当たりの病床数が23区で最も少なく、急性期から慢性期まで全ての病床機能が不足しています。
医療圏における病床数の制限など困難な課題がある中で、区は、超高齢社会にふさわしい医療提供体制を構築するため、区内に病床機能をバランスよく配置できるよう、病床の確保・整備を進めてきました。
順天堂練馬病院は、平成17年の開院以来、高い病床稼働率が続いていました。
加えて、救急医療や周産期医療の機能拡充が求められることから、増床計画に取り組み、用地の確保などについて、地域の方々に御協力を頂き、令和3年に90床の増床を実現しました。
その他、平成26年に練馬駅リハビリテーション病院、平成29年にねりま健育会病院、令和4年に慈誠会・練馬高野台病院が開院し、同年10月には、練馬光が丘病院が移転・改築しました。
令和7年度には、練馬光が丘病院跡施設に医療と介護の複合施設が開設される予定です。
これらの取組により、前川区長就任時の平成26年には約1,800床だった病床が、令和7年度には約2,800床となり、約1,000床の増となります。
さらに、練馬、光が丘、石神井、大泉の4つの圏域全てに、急性期から回復期、慢性期に至るまでの病床機能がバランスよく配置されます。
引き続き、みどりの風吹くまちビジョンに基づき、入院から在宅に至るまで、区民が切れ目のない医療が受けられる体制を整備してまいります。
質疑のポイントとまとめ
- 2020年の医療費・死亡率低下の要因を尋ねたのに対し、区は令和3年度に医療費・死亡率とも増加に転じ、国のデータでも同様の傾向があるとのことでした。
- 地域医療構想を踏まえた病床整備の考え方と順天堂練馬病院増床の経緯を尋ねたのに対し、区は病床数を約1,800床から約2,800床に増やす整備を進めてきたとの回答でした。
- 管理栄養士による食事指導の医療費削減効果を尋ねたのに対し、区は1年間で約5割の方の数値が改善し、糖尿病の方の医療費は平均の1.3倍高いとの答弁でした。
- 予防接種の助成が医療保険制度の趣旨や国の方針と相反しないか尋ねたのに対し、区は予防接種と医療保険は目的が異なり、助成は保険給付の削減にも寄与するとのことでした。
⇒ 医療費適正化に向けた分析の継続と、地域医療体制の整備、予防接種助成の在り方について引き続き検討すること
出典・議事録を見る
| 発言者 | 区分 | 原文抜粋 |
|---|---|---|
| ももかわ一郎 委員 | 質問 | 我が国の経済状況は1990年以降、平成バブルからの急激な財政緊縮、金融緩和による国内経済の衰退により、30年に及ぶ世界にも類を見ない長期デフレ化が進みました。 この間に進められた新… |
| ももかわ一郎 委員 | 質問 | 国保の保険財政の現状を踏まえ、給付費の抑制は急務です。 厚労省の方針でも、ヘルスケアを柱とした医療費適正化が進められています。 しかし、現在行われている特定健診からの早期医療介入で… |
| ももかわ一郎 委員 | 質問 | 骨太方針2023では、在宅医療、地域包括ケアの充実と併せ、保健指導の推進がうたわれております。 医療費削減には、生活習慣の改善、特に食事改善が重要と考えますが、実際に食生活が変化す… |
| ももかわ一郎 委員 | 質問 | 医療費の削減に苦慮する中、区は一般財源を使った予防接種事業に注力しています。 例えば、今年度の帯状疱疹ワクチンは、補正後予算で7億円超となっております。 また、24年度からの新型コ… |
| 区民部長 | 答弁 | 私から、国民健康保険の医療費適正化についてお答えします。 初めに、医療費と死亡率の推移についてです。 令和2年度は、新型コロナウイルスの影響により、全国的に医療機関等の受診控えがあ… |
| 区民部長 | 答弁 | 次に、特定保健指導における食事指導についてです。 特定健康診査の結果から、腹囲やBMIが基準値を超えた方に対し、血糖・脂質・血圧・喫煙のリスクに基づき、管理栄養士などが保健指導を行… |
| 健康部長 | 答弁 | 私から、予防接種、感染症対策及び地域医療についてお答えいたします。 初めに、予防接種への助成と医療保険制度についてです。 予防接種は、伝染のおそれがある疾病の発生及び蔓延を予防する… |
| 健康部長 | 答弁 | 次に、地域医療についてです。 練馬区は、人口10万人当たりの病床数が23区で最も少なく、急性期から慢性期まで全ての病床機能が不足しています。医療圏における病床数の制限など困難な課題… |
質問と答弁の本文は、練馬区議会の会議録の記載をそのまま掲載しています。
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