議会報告 / 区政・財政
美術館再整備の工事費上昇と入札不調について
予算特別委員会 令和8年3月6日 全款補充質疑
令和8年3月6日の予算特別委員会全款補充質疑で、区議が美術館再整備の工事着工延期を入り口に、建築工事の入札不調が続いている問題について質問しています。
※この記事は、議会での質疑をもとにした活動報告です。
美術館再整備の工事費が3年で2倍以上に膨らんだのは不本意
美術館再整備工事の着工延期と経緯
美術館再整備に関連して、昨年の区民生活委員会でも質問したのですが、本事業の工事は、計画当初から工事費の問題に終始していたという印象を持っております。
公表金額が3年間で76億円から150億~160億円に上昇
区からの公表金額は、令和4年当初が76億円、基本設計完了時に89億円、実施設計の中間報告時に109億円、そして今般、実施設計が完了して150億から160億円という金額が出てきております。
昨年の決算特別委員会でも意見を述べさせていただいたのですけれども、計画から実施設計までの完了までに3年間という時間を要しております。
また、計画や基本設計の段階で精緻な積算を求めるのはそもそも無理があったという印象を持っています。
予定価格の算出手順と入札不調の発生
工事案件では、予定価格の算出は実施設計書を基に各設計項目ごとの部材や数量を求めて、必要とされる人工から積算を求めていく手順と認識しております。
これら細かい項目が網羅された設計書を基に算出していると思いますけれども、実際には予定価格と入札額が合わずに不調となる事態が発生しております。
メーカー部材の金額を区はどう算出しているか
今年度に着手される予定でありました美術館再整備の工事着工の延期が決定された件を入り口といたしまして、昨今の建築工事の入札不調が続いている件についてお伺いいたします。
なぜこの乖離が発生するのかと考えた場合、例えばエレベーターであれば、東芝なのか、日立なのか、三菱なのかというような指定が、業者の方の選択、積算と合わないという可能性もあると思います。
例えばメーカー部材の金額について、区はどう算出しているのか教えてください。
<答弁のポイント>
区立施設の資材価格は東京都財務局の積算基準に基づき算出し、鉄骨や鉄筋は設計図書の数量に最新の公共単価を掛けて積算するとのことでした。
サッシやエレベーターなどの既製品は原則3社以上の参考見積を取得して比較のうえ積算しているとの説明でした。
区の答弁(施設管理課長)
答弁の全文を読む
区立施設の整備に係る資材価格については、東京都財務局の積算基準に基づいて算出してございます。
鉄骨や鉄筋など工事に必要な建築部材は設計図書に基づいた数量に最新の公共単価を掛け合わせて積算します。
一方、サッシや、エレベーターの既製品は、原則3社以上の参考見積を取得し、条件や価格を比較した上で積算しています。
建築部材やメーカー品など、工事に必要な物の価格はこのような方法で見積もっています。
美術館再整備工事の公表金額の推移
令和4年当初質問
76億円
基本設計完了時質問
89億円
実施設計中間報告時質問
109億円
実施設計完了時質問
150~160億円
予定価格と入札額の乖離のほかの要因について
部材調達の相見積で乖離は少ないことが判明
部材の調達前に相見積を取ってやっているということで、この部分の乖離はあまりなさそうだということが分かりました。
工程ごとの工数の算出は適切に行われているか、乖離の要因は何か
それ以外の要因としては、各工程に必要となる工数などの設定が業者の見込みと合わないことも考えられると思います。
工程ごとの工数の算出は適切に行われているのでしょうか。
予定価格と入札額の乖離はほかにどういった要因があるのか教えてください。
<答弁のポイント>
工数は労務単価にあたり、現場状況や設計内容を踏まえた延べ人数に設計労務単価を掛けて算出しているとの説明でした。
建設業界の担い手不足や高齢化により労務単価が13年連続で上昇しており、公共工事の労務単価と施工会社の想定金額が異なるケースもあるとのことでした。
区の答弁(施設管理課長)
答弁の全文を読む
工数というお話がありましたけれども、労務単価と認識してございます。
先ほどは物の価格についての御質問でしたが、今度は人にかかるコストの御質問です。
公共工事においては、現場の状況や設計内容を踏まえ、施工に要する延べ人数を積み上げて、設計労務単価を掛け合わせて算出します。
建設業界においては担い手不足や高齢化などから労務単価が13年連続上昇しており、公共工事に係る労務単価と、施工工事会社が想定する金額と異なるケースも一定数あると認識しています。
このような状況の中、国は実勢価格に基づく労務単価の見直しを毎年行っていることから、区といたしましては、最新の情報を得ながら実態に即した予定価格になるよう取り組んでいるところです。
労務単価上昇の状況
労務単価の上昇答弁
13年連続
不確定な段階から金額を公表することが計画進捗の足かせになるのは問題
計画段階から精度が上がるにつれ、あたかもオークションのように工事費がつり上がって見える
区のほかの工事でも実施設計を基に予定価格を算出しても実勢と合わなくて入札不調となる事態が頻出しております。
今般の美術館のような特殊な工事金額の見積だとさらに難しいという印象があります。
計画段階から概算工事費が公表されますけれども、その時点では精度が低いので、設計段階に応じて見積精度が上がってくる。
そうすると時系列で見ると、あたかもオークションのように工事費がつり上がって見えるという不本意な事態が発生しております。
アクションプランの計画段階で金額を明示しない、または含みを持たせることは可能か
区はアクションプランという中期計画を出さざるを得ないと思うのですけれども、こうした不確定要素をあまり早い段階から公表することで、根拠が正確ではない金額が喧伝されて、計画進捗の足かせになるのは問題かと思っています。
アクションプランの計画段階で金額を明示しないとか、あるいは、含みを持たせた金額にするというやり方は可能でしょうか。
<答弁のポイント>
早期に数字を明示することのリスクについては区も同様の課題認識を持っているとのことでした。
一方で、行政計画に事業費を明示することは実現可能性や透明性、区民への説明責任を高める上で重要であり、今後も計画的な行政運営に努めるとの答弁でした。
区の答弁(企画課長)
答弁の全文を読む
今、数字を早期に明示することに関するリスクをいただきました。私どもも同様の課題認識は持ってございます。
一方で、行政計画に事業費を明示することは、実現可能性や透明性、また区民の皆様への説明責任などを高める上で非常に重要と考えてございます。
今後も、ハード、ソフトを問わず、計画的な行政運営に努めていく考えでございます。
質疑のポイントとまとめ
- 美術館再整備工事の公表金額がなぜ76億円から150~160億円まで膨らんだのか、メーカー部材の算出方法を尋ねたのに対し、区は東京都財務局の積算基準に基づき、既製品は3社以上の参考見積で積算しているとのことでした。
- 予定価格と入札額の乖離の要因として工数の算出方法を尋ねたのに対し、区は労務単価が13年連続で上昇しており、公共工事の労務単価と施工会社の想定金額が異なるケースがあるとの回答でした。
- アクションプランの計画段階で金額を明示しない、あるいは含みを持たせる運用は可能か尋ねたのに対し、区は事業費の明示は透明性や説明責任の観点から重要であり、今後も計画的な行政運営に努めるとの答弁でした。
⇒ 計画段階の不確定な金額の公表が計画進捗の足かせとならないよう、アクションプランにおける金額表示の在り方を見直すことを求めます。
出典・議事録を見る
| 発言者 | 区分 | 原文抜粋 |
|---|---|---|
| ももかわ一郎 委員 | 質問 | 今年度に着手される予定でありました美術館再整備の工事着工の延期が決定された件を入り口といたしまして、昨今の建築工事の入札不調が続いている件についてお伺いいたします。 美術館再整備に… |
| 施設管理課長 | 答弁 | 区立施設の整備に係る資材価格については、東京都財務局の積算基準に基づいて算出してございます。 鉄骨や鉄筋など工事に必要な建築部材は設計図書に基づいた数量に最新の公共単価を掛け合わせ… |
| ももかわ一郎 委員 | 質問 | 部材の調達前に相見積を取ってやっているということで、この部分の乖離はあまりなさそうだということが分かりました。 それ以外の要因としては、各工程に必要となる工数などの設定が業者の見込… |
| 施設管理課長 | 答弁 | 工数というお話がありましたけれども、労務単価と認識してございます。 先ほどは物の価格についての御質問でしたが、今度は人にかかるコストの御質問です。 公共工事においては、現場の状況や… |
| ももかわ一郎 委員 | 質問 | 区のほかの工事でも実施設計を基に予定価格を算出しても実勢と合わなくて入札不調となる事態が頻出しております。 今般の美術館のような特殊な工事金額の見積だとさらに難しいという印象があり… |
| 企画課長 | 答弁 | 今、数字を早期に明示することに関するリスクをいただきました。私どもも同様の課題認識は持ってございます。 一方で、行政計画に事業費を明示することは、実現可能性や透明性、また区民の皆様… |
質問と答弁の本文は、練馬区議会の会議録の記載をそのまま掲載しています。
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